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別れに怯えて生きている。
もう二度と行けない場所が美しいとか、一度きりの人生が貴重だとか、そんなこと、断言することが出来ないし、ぜんぜん分からない。
それに、「別れ」を何かしらの言葉で表現できるようになってしまったとき現在と繋がっていた存在を分離することになるのだから恐ろしくてたまらない。
スペースシャトル。
ロケットと航空機の混血。
今から11年前に役目を終えた。
宇宙は遠い存在で、憧れで、
宇宙開発は人類の希望と言われている。
私たちは宇宙に挑むという壮大な計画を
誰かに託して、泣いたり笑ったりしながら
打ち上がるスペースシャトルに願いを込める。
スペースシャトルというのは、本来帰ってくるもので、出発の瞬間を見ている人は、人にするのと同じように「頑張ってこいよ」と言うのだろう。
そして、スペースシャトル自身はというと、周回軌道から外れることが出来ない____というか、外れたら文字通り致命的だ。
曰く、周回は「輪」である。永遠である。摩訶不思議なことに、輪の上という範囲に定められた収束する無限である。
永遠は、不変でなくてはならないのである。
そしてスペースシャトル・ララバイ。
このことを念頭に置くと、事の重大さが分かってしまう。スペースシャトル・ララバイの不安定感を覚えた人はいないだろうか?そしてサビの安定感を。
序盤から希望に満ち溢れていて、そわそわしていて、
「応答を願う!」で、どこか知っていて落ち着くメロディーに落ち着く。
(★もしかして:
「シグナルABC」かもしれないと思ったら…?
スペースシャトル・ララバイにも大気圏、シグナル(≒合図・応答)とあり、併せ飲みで解釈することもでき、本当にこの2曲が繋がっているとも思えてくる)
後半になるほど不穏になるこの曲が、
どうも心を掴んで離さない。
「言葉はみだりなまま 想いだけ強くなっていく」
「軽はずみだな リアクションとかメッセージとか
見飽きたよ 聞き飽きた それなんかの足しになるのか?」
2番に入り、明瞭に歌い上げられる歌詞はこんなにも…あまりに事が上手く行き過ぎると人間は不安になるが、まさにその期待していない期待が本当となってしまうフレーズだ。
誰かに託すとか、思いを込めるとか、
人類の希望みたいな壮大なこととか…だよな。そういうのを否定したい訳ではないことは後のフレーズから分かる。
自分の気持ち優先!as you like!というスタンスをユニゾンは一貫しているだろうから、そう解してみる。「ありがとう」とある通り、期待は受け取るんだけど、
その期待に押し潰されて、呼吸が苦しくなってしまって、パニック状態なのかもしれない。
どうにも出来ないから、落ち着きたいから「どうしようもなく どうしようもなく 息をしたくなった」。
そこに、
「少しずつ話そう、いいかい?
大切に淹れたコーヒーとか飲みながら」
諭すように優しい言葉が綴られている。というか、厳しい言葉のあとなので優しく感じるのは普通である。
大切に淹れたコーヒーって、心を落ち着けるものでもあって、大事なこと(=エッセンス)の「抽出」がテーマになると思う。
プラマイゼロで歌詞だけ見るとこの2つのフレーズは綺麗にまとまっているように思えるが、「大切に淹れたコーヒーとか飲みながら」で、安定感がグラついている。作曲とかやってる人は聴いてすぐに、えげつないコードしてんな、とか思ってると思う。(…解説して欲しい。)
つまりその変化で、周回軌道から外れている訳である。
すぐにBメロに入り、軌道に戻るのだが。
歌詞も何も見ずに聴いていたときに、ここの部分で心臓が止まりそうになる思いをしたが、それとは対照的に、歌詞だけを見れば平和に上手く収まっているように見える。実に危険の潜んだフレーズなのである。
スペースシャトルの考察で、疑問に思っていたこの感覚が間違いではなく、よく曲の2番で見られる「アレンジ」が、ここでは望ましいものではないことが分かってしまった。
それにしても「君にできないわけないから」
と断言するなんて、「軽はずみだな〜」のことを考えると、捉えようによっては重荷にしかならないことを…
じゃあ、君にできないわけがないって、「決断」「決心」のことを言っているのか?
どちらだとしても変わらないことは、私たちは重荷を課している、託しているということなんだな…
だから見ている私たちも同じように責任を持って祈るべきなんだろう。
自分の心に正直になりながらも、
私たちの祈りを無視することなく。
その結果、決心をもたらしてくれた。
必要な門出だった。
「決心を祝う!」
「青すぎる空を泳ぐ希望みたいなもの」
息をして、生きたいという活力を抑え切れずに
「どうしようもない」と言ってスペースシャトルは
空に消えていった。それは笑っているようにも見える。
さよなら。想いの向こうへ。
4/18 著 8/25 改・編集
タイトルの引用(改)
「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」より